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221.私の立ち位置とゼミの先生(14.3.17)
2月のある日、思いもかけない荷物が届いた。書籍であるが、書籍はアマゾンを通してしょっちゅう入手はしていたものの、今回は思い当たらない。
案内書が1枚入っている。
”常盤ゼミ・ゼミナリステン各位”宛で、”常盤政治著作選集刊行委員会”の文書、
そして冒頭の時候挨拶の次は、
”常盤政治先生は2008年11月に慶應義塾創立150年を記念する「復活!慶應義塾の名講義」で「世界経済の現局面とその分析手法」というテーマで講演されました。云々”
そういえば、
半生のカテゴリーの第104号
が私も出席したこの講演時のもので、その後2009年に入っての1年はこのおじんカテゴリーで経済・社会・政治のつぶやきのオンパレードだった。
例えば、このカテゴリーの
第117号
では、 ”いま、「宗教・仏教・道元大山脈」に匹敵するくらいの、いろいろな言われ方をしている「現下の経済局面大山脈」に心を奪われてしまっている。” という出だしになっている。
この講演後、懇意関係を続けられているゼミナリステンとの間での先生の傘寿を祝う会において、先生ご自身が、「これまでの書き物を選抜・発刊して、皆さんに配布したい」旨のお話をされ、詳細は省略するとして、この流れのなかで出来上がった本だということである。
『経済学は面白い − 常盤政治著作選集』、常盤政治著作選集刊行委員会、立派な出来栄えである。
私のゼミ生活は、
半生のカテゴリーの第64号
の通りで、恐らく先生は私を記憶されてはおられないだろう。
ともあれ、今回のご著書を拝読し、全く知らなかった先生の歩みを多く発見したこともあるが、やはり私をして、付箋をいっぱい貼らしめているところは、冒頭名講義のレジュメの前に置かれている論文、『長期平成不況の性格とそれに関する若干の経済学的概念の謬見』(『三田学会雑誌』第97巻第4号 2005)である。
私は、「産業循環=過剰生産恐慌理論の欠如」という先生のお考えには常々賛同していた。
バブル崩壊後、膨大な財政支出など景気回復策をとっても景気が一向に回復しないことに、巷間でタイミングの悪さなどが言われていたのに対し、先生は、「施策のタイミングの悪さによるものでは決してない。端的にいって、資本主義に特有の産業循環=過剰生産恐慌の不可避性についての認識が欠如していたからにほかならない」、であり、「過剰生産のシグナルが鳴っているのに・・・・”屋上屋を重ねる”過剰生産の追加要因強化のビヘイビアを採ったことになり、過剰生産の調整を阻害するように働いた」、である。
不況長期化のもう一面(外的要因)として先生は、「国民経済的基盤から世界経済的(具体的には中国)基盤へ移行する、いわば商品の価値規定者の国際的編成替えのプロセス」を挙げ、これも巷間で「中国からのデフレの輸出とか、デフレの中国的要因、乃至中国からの不況の輸出などと捉えること」に対して、「産業循環の調整局面における貨幣現象としてのデフレ(通貨収縮)とは異なる」と力強く仰っている。
そもそも本来のデフレ(通貨収縮)は、「過剰生産による物価の下落とそれに伴う商取引の停滞の結果」であって、デフレと物価の持続的低落とは同義語でない、と「デフレ=物価の持続的低落という把握の誤謬」を厳しく指摘されておられる。この論の流れはその後当然に、正しい「インフレーションの概念」となり、結論的に『「インフレ・ターゲッティング」論の誤り』の厳しい追求になる。
インフレターゲッティング論者たちの謬見を次のように整理している。
@ 循環論法的誤謬:需要不足からデフレ(物価下落)を説明し、デフレからさらなる需要不足(デフレスパイラル)を説明している
A デフレを「物価の持続的低落」と捉える俗論に依拠している
B 物価は通貨供給量が増加すればそれに照応して物価も上昇するとする「貨幣数量説」に立っている
C 不換通貨の増発による物価騰貴(物価の名目的騰貴)と景気回復・上昇局面における物価騰貴との混淆
私がここまでつぶやいてきた意図はもう想像に難くないと思われるが、2009年における度重なるつぶやきも、最近の、数は減っているはずではあるが、政治経済的つぶやきも、路線は全く同じなのである。
私の立ち位置をゼミの先生が肯定してくださった想いがする。
第198号
、
第204号
、
第207号
、(
第214号
)・・・・
例えば、第198号
「日銀へのインフレターゲット圧力、憲法改正論議の加速化、TPP推進・・・・・・。またぞろ、経済とか国力とか成長とか・・・数字を追うばかり。あまり公約どおりにやってほしくない」
例えば、第204号
「日銀の囲い込み。今回日銀は独立性さえ奪われた感がする。非常に憂慮している。私は今までの政府からの金融緩和論になかなか同調しなかった日銀施策を支持してきた。資金が市場でバラまかれても、最弱者層には届かず大企業を喜ばすばかりで、一方借金による大盤振る舞いの予算で国の財政は破綻だ。このインフレターゲット2%、これがバブルの再現とならぬことを祈るばかりだ」、バブル再現とならずとも、過剰生産の調整を阻害=景気本格的回復でない現状の引き延ばし、か。
同じ第204号での総観
「新政権。「経済の強化」「景気の回復」「成長戦略」・・・。「頑張る人が報われるように」「自助努力」・・・。 いままでだったら、どこが悪いのだ?となる。しかし疑問を感じだしたら、頂点は「強い日本」である」、「強い」日本になんかならなくてもいい!
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