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おじんのつぶやき



  61.読書の繋がりー2(18.12.21)

 朝日新聞1面下の書籍広告で『自民党という病』を見つけアマゾンにて購入したことは前号で書いた。
 今回は、それまでの『…という病』からの連動であったが、朝日新聞同欄からアマゾン購入して、その本での繋がりで、新たなフェイズに関心が向いたことが、この「つぶやき」を休止していた時期にあった。夏ごろだったか?

 『ポスト「戦後」の進路を問う - 白井聡対話集』(かもがわ出版)である。白井聡というひとはこの時点でははじめてだったが、本のタイトルへの興味と、対話者に内田樹や水野和夫などがいることで、即アマゾンへとなってしまったものだ。
 対話者は12人だが、上記2人のほかに承知していたのは佐藤優、中島岳志くらいで、あとのひとは初見だった。
 帯には“安倍政権に至る戦後自民党政治根本矛盾を明らかにし、その転換を迫る。” とか “各分野のトップランナーとの熱論” などとある。そして、この対話は白井聡が先に上梓した『永続敗戦論-戦後日本の核心』に関連してのもので、様々な媒体での機会を得て行われたものの記録のようだ。
 対話者12人のうち上記の内田、水野、佐藤、中島の他は、孫崎亨、中村文則、信田さよ子、岡野八代、栗原康、島田雅彦、馬奈木厳太郎、猿田佐世であった。「各分野のトップランナー」と言われる割には私の知らないひとが多い。


  今日(2018年12月21日)にも話題の日産自動車元会長 カルロス・ゴーン氏は、検察の拘留延長を裁判所が認めず、保釈されるだろうと言われている。 → 【後日注】
 この名前が最近読んでいた本で見たばかりだったので、探した(いろいろ並行的に読んでおりどこだったか判らなくなる)。内田樹の『困難な成熟』だった。
 森繁久弥演じる1960年ころのサラリーマン映画など引き合いに出し、会社というものがこの50年すっかり様変わりしてしまったことを前書き的に記した後、次の「会社には「母」がいない」という項だての冒頭である。

 “さて、今、例えばソニーとか日産自動車とかユニクロとかを舞台にしてこれと同じ映画を作ることができるでしょうか?
 カルロス・ゴーン社長の経営失敗を咎めて失脚に追い込んだヘッジファンドの各国の投資家たちに報復するために、日産自動車の専務や研究開発部長と営業所長が立ち上がった……という話にリアリティを持たせることは絶望的に不可能でしょう(でも、誰かが作ってくれたら見ますけど)。”


 こういうくだりである。ゴーンが逮捕・拘留されたのが11月19日。少し混乱した。手許の『困難な成熟』(夜間飛行)は2017年11月24日発行。日にちだけをみて、11月19日→11月24日。ウヮ、内田樹はどんな心境だろう。
 しかし冷静にみると、今は2018年、この本の発行年は2017年、さらにこうある。
 “本書は2015年9月に夜間飛行より刊行された『困難な成熟』を文庫化したものです。”

 私も1968年に社会に出た。会社は「日産懇話会」に属していて、特別販売会のようなところによく行ったものだった。その後の福利厚生面や家族的雰囲気否定・絶滅の過程は会社員生活で身をもって経験してきている。

 経営失敗とかヘッジファンドとか立ち上がった人物の違いこそあれ、「ゴーンの失脚」目論みは現実であり、内田樹は平気で語れるだろうが、私には感慨深い。もはや三和グループ:三和銀行・日産自動車・日立製作所など、というものは無いが、少なくとも車は日産で通してきた。歪んだナショナリズムではないが、この件は、揺り戻しのない方向で進んで欲しいものだと感じている。 
 
 

 閑話休題  『ポスト「戦後」の進路を問う』関係に戻ろう。 
 この本からの繋がりでの購入本は、なによりまずは白井聡の『永続敗戦論』(講談社α文庫)。2013年に太田出版から発行されたものの2016年の講談社からの文庫版。
 それから水野和夫の本は『金融大崩壊』(NHK出版)とか『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)等があったが、ここで、『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』(集英社新書)を。
 それから、初物だったが題名に惹かれ、岡野八代『シティズンシップの政治学-国民・国家主義批判』(白澤社)だけだった。
 内田樹の本はこれとは無関係に増幅している。

 『永続敗戦論』、私にはかなり感動的であった。内田樹からは「他者のまなざし」の重要性を再三教えられているが、この本は、「オレがオレが」、「ワレワレは」という自己中心的見方は横に置いて、俯瞰的、鳥瞰的に今の日本を総括していると感じた。韓国語版への序文というのがあるので改めて読んでみると、外国読者を念頭に書いたのではないが、日本の現在の政治状況・言説状況への介入を、韓国語への翻訳で日本理解の助けになり得ると確信している、とあるがその通りになっていると思う(櫻井よし子や日本会議の連中にはとてもうけいれられないだろうが)。
 このあと私はこの白井の『国体論-菊と星条旗』(集英社新書)を入手しているが読破してない。

 内田樹も言っている。私たちのアイデンティティを支えるのは、その他のすべての点が同じであるにもかかわらず、そこだけが違うような「一点」を析出してくれるような他者である、「私はあなたとは違う」と言って排斥するためにのみ召喚される他者である、日本にとってそのような理想的他者は江戸時代まで華夷秩序の「虚の中心」としての中国であった、と。そして、日本のナショナル・アイデンティティとはこの150年間、「アメリカにとって自分は何者であるのか?」という問いをめぐって構築されてきた、と(『街場のアメリカ論』より)。米・中・露、さらに欧州の状況、その状況の「中に」我々はあるものの、常に、“ながれ”、“ひろがり”の歴史のなかで自身を見据えていかねばならないということを改めて肝に銘じたものである。

 岡野八代『シティズンシップの政治学-国民・国家主義批判』は大冊だが、思ったほどには内容が私の今の(将来は判らない)心境にマッチせず、中途で書架戻りになっている。

 さあ、またアマゾンから数冊来るはずだ。読書、読書(シルバーと三田会と武蔵野大学勉強の合間だが)。

【後日注】 カルロス・ゴーン氏は再逮捕され、保釈が先延ばしになった。

      

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